2011年5月22日日曜日

ヨウ素剤は県の判断で投与中止、IRSNの食品警告 (補足あり)

SPEEDIによる放射能拡散予測の公開が遅れたため、結果的に十分な避難が出来ず被ばくしてしまった問題で甲状腺がん予防のために必要なヨウ素剤は投与されなかったようです。

報道によれば、保安院はヨウ素剤投与を指示しましたが、県の判断でヨウ素剤は投与されませんでした。

参考 
ヨウ素剤配布で混乱、誤った服用指示も

以下引用:原子力安全・保安院の西山英彦審議官は19日夜、「16日朝に20キロ・メートル圏内からの避難者にヨウ素剤を投与するように県に指示した」と説明した。しかし、15日昼過ぎには、避難は完了していた。県の担当課長は「今更、服用させても効果がないと判断し、実施を見送った」と話した。
ヨウ素剤



今回はIRSNが公表している資料をご紹介します。

ちなみにIRSN(フランス放射線防護原子力安全研究所 Institute de Radioprotection et de Sûreté Nucléaire )は放射線のリスクを研究しています。 http://www.irsn.fr/EN/Pages/home.aspx IRSNが日本をどのように見ているか知っておきましょう。


注)ロゴが入っている画像はトリミング、URL記入、画質調整、などで加工してあります。
オリジナル画像はURLからご入手ください。


2011年3月12日より福島第一原子炉から放出された放射能雲大気中拡散シミュレーション
プルトニウム燃料を使用した3号機爆発による放射能は関東圏を直撃した。
出典 フランスIRSN
上記URLからアニメーションを見ることが出来ます。



対甲状腺放射線量(甲状腺の被ばく量)
甲状腺被ばく“100mSv” は日本政府が設置したヨウ素剤服用勧告
出典 IRSN
上記文書の5ページに「“100mSv” は日本政府が設置したヨウ素剤服用勧告の規制量です(フランスでは50mSv)」の記載がある。日本がヨウ素剤服用勧告の基準を“100mSv” にした理由は不明。ただし上記のデータは3月15日現在のものである。



放射性物質放出期間中、無防備状態(屋外)において1 歳児が受け得る対全身放射線量(3月22日まで)
出典 IRSN (上記URLからアニメーションが見れる)
フランスでは10mSv 以下の場合は身体への被害リスクは十分に低いとされ、特別な安全対策は必要ないとしています。参考までに、フランスでは自然放射能と医療被曝から受ける年間放射線量の平均値は3.7mSv です。



放射性物質放出期間中、無防備状態(屋外)において1 歳児の甲状腺が受け得る放射線量(3月22日まで)
出典 IRSN
事故の際にヨウ素の服用が必要とされる放射線摂取暫定基準は日本では100mSv に定められて
いる(フランスでは50mSv)。


IRSNの食品警告

1.5. Food consumption recommendations for all French citizens living in Japan
IRSN recommendations:

- Avoid consuming Japanese sand eel or sand lance.
- Avoid consuming vegetables (spinach, hana wasaki, kakina, komatsuna, lettuce, chrysanthemum, cabbage, white cabbage, celery, broccoli, bok choy, parsley) and mushrooms in the districts of Fukushima, Tochigi, Ibaraki, Miyagi and Gunma.

- Avoid giving children fresh milk produced since March 11 in the districts of Fukushima, Tochigi, Ibaraki, Miyagi and Gunma.

「福島、栃木、茨城、宮城、群馬の葉野菜とキノコを食べないこと、同地域の牛乳は子供に与えないこと」この他いくつかの注意がある。詳しくは原文参照のこと。



SPEEDIの公開が遅れ、更に甲状腺被ばくが100mSvを超えた地域住民にヨウ素剤が投与されなかった。
出典 原子力安全委員会 平成23年3月23日
1=10000mSv
2=5000mSv
3=1000mSv
4=500mSv
5=100mSv
ヨウ素剤の内服が必要となる、甲状腺被ばく線量が100mSvを超える地域が、30Km圏を超えて広がる(画面下のスケール参照)。


保安院はヨウ素剤投与を指示したが県の判断で実施せず
原子力安全・保安院の西山英彦審議官は19日夜、「16日朝に20キロ・メートル圏内からの避難者にヨウ素剤を投与するように県に指示した」と説明した。しかし、15日昼過ぎには、避難は完了していた。県の担当課長は「今更、服用させても効果がないと判断し、実施を見送った」と話した。



コメント

IRSNはIAEAやフランス大使館等を通じて福島第一原子力発電所の事故に関する資料を収集し、独自の分析結果をHPに公開しています。ただし、日本の分析結果とは一致しません。

この中に「“100mSv” は日本政府が設置したヨウ素剤服用勧告の規制量です(フランスでは50mSv)」という一文があります。

そこで日本の原子力安全委員会が発表した「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算について」を読んでみると、1歳児の甲状腺被ばくが“100mSv”を超える地域が福島第一原発から30キロ圏外にまで広がっています。

保安院は半径“20キロ”圏内の避難者にヨウ素剤投与を指示していますが、県の判断で投与されませんでした。

避難勧告が無かったために逃げ遅れて被ばくし、ヨウ素剤の投与は県の判断で中止されたので、今後は甲状腺がんの発生が心配されます。

現在、IRSNは福島、栃木、茨城、宮城、群馬の葉野菜とキノコを避け、同地域の牛乳を子供に与えないよう警告しています。

事故は終息していません。公的支援も当てにならないので妊婦や子供、妊娠可能な女性は避難した方が安全です。






参考 ヨウ素剤

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