爆発したマークⅠ型原子炉
今回事故を起こした福島第一原子力発電所の1号機から4号機はすべてマークⅠ型と呼ばれる原子炉でした。
参考
原子炉建屋の設計図がネット流出 福島第一1号機か
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104250626.html
3号機と4号機は、なぜ大破したのか?
画面左から4号機、3号機、2号機、1号機
1号機はGE、2号機はGE・東芝、3号機は東芝、4号機は日立
プラント主要緒元 主契約者
GEの原子炉は欠陥品と指摘されているが
GE社製1号機建屋には筋交いが入っていた
筋交い(すじかい)とは、柱と柱の間に斜めに入れて建築物や足場の構造を補強する部材である。「筋交」「筋違」とも表記され、ブレース(brace)とも呼ばれる。構造体の耐震性を強める効果があり、建築基準法では一定の割合で筋交いを使用することが義務づけられている。柱と梁の形づくる長方形は、接合部の強度に余裕がないと、地震や暴風などの水平力を受けたときに平行四辺形にひしゃげるように変形してしまう。ここに対角線状に筋交いを加えて三角形の構造を作り、変形を防止するわけである。
参考 ウィキペディア
GE社製1号機の筋交い拡大写真
構造を補強する筋交いがX字状に入っている。筋交いに使用されている鉄骨は太い。壁は吹き飛んだが太い鉄骨構造が建屋と原子炉の大破を防いだ。
GE社製原子炉設計図には筋交いが描かれていた!
一方、東電から流出した設計図は筋交いが無い!
参考 原子炉設計図が流出
大破した3号機には
筋交いが入っていなかった!
3号機の原子炉は東芝製である。網の目状のコンクリート構造が見えるが筋交いが入っておらず壁は薄い。
3号機の拡大写真
筋交いは見えず、細い鉄筋が見える。壁も薄かったようである。
4号機にも筋交いが入っていなかった!
4号機の原子炉は日立製である。4号機にも筋交いが入っておらず壁は薄く吹き飛ばされている。
4号機の壁面拡大写真
構造を補強する筋交いは見えない。コンクリートから飛び出した鉄筋は細い。壁は薄く、ペラペラしている。
コメント
4月26日付の朝日新聞で、東京電力は原子炉建屋の設計図について、「メーカーのノウハウがある」などの理由で公表を拒否しているというコメントがあった。しかし、原子炉建屋の見取り図は以前からネットで検索すれば誰でも簡単に閲覧することができる状態であった。原子炉本体には企業秘密があることは理解できるが、なぜ建屋の設計図を秘密にする必要があったのかは不明である。しかしながら、GE社の設計図と東電の設計図を比較すれば建屋の筋交いが省略されたことが容易に判る。念のため大破した3号機と4号機の写真を見直してみたところ筋交いは見えず、使用された鉄筋はとても細く、壁も薄かった。3号機と4号機の建屋は当初から強度が低かったようである。隠したかった「メーカーのノウハウ」とは何だったのか。むしろ十分な情報公開がなされていれば今回の事故を防いだのではないかと悔やまれる。
参考
元東芝原子力設計技術者に聞く大震災原発事故
使用済核燃料プールの危機
4号機の使用済燃料プール付近から水漏れ
流出した設計図に筋交いがない、としてますが
返信削除それ3、4号機のではなく
【1号機】の設計図ですよ?
右下にちゃんと書いてあります。
General~との記載も。
確認して正しい情報載せたほうが
いいように思います。
テレビ等でも混同している方が多いですが、鉄骨造(S造…軽くしなやか)と鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造…最強)はまったく違う構造体です。1号機の写真で見える部分はS造なので筋交いを設けて強度を出しています。おそらく上部を軽く作りたかったのでしょう。4号機はRCもしくはSRC造と見えます。抜けてしまった壁の部分が筋交いと同じ耐力壁として設けられていたのだと思われます。いずれにしても上屋部分は地震には耐えたまでは良かったのですが、格納容器の様に耐圧性を重視した物ではなく、遮蔽と施設全体の保護の目的でしょうから、容易に吹っ飛んでしまったのだと考えられます。非常に残念ですが大量の放射性物質の漏洩は、爆発ということ自体を想定していなかった東電・保安院・政府の浅はかさ・もしくは知っていて嘘をついていた腹黒さから起こった事態だと思います。非常用電源がいかなる事態でも確保できるように考えられていればこんなことにはならなかったと思います。爆発しても耐えられる建屋をつくることは物理的に難しいです。人間が制御できない原子力に手を出したこと自体が間違いだったということです。
返信削除これを機に世界中で原発について見直すべきだと思いますし、実際にそういう動きが出てきていることに希望を見出すしかないでしょう。