3号機の原子炉上部から白煙が出ている
東京電力は福島第一原発事故の収束に向けた作業の工程表を発表しました。しかし、3号機の原子炉上部から放射性物質を含むと思われる蒸気が漏えいしている問題は一向に話題になりません。4月10日に米軍が撮影した画像にも3号機の原子炉上部から白煙が噴出する状況が撮影されています。この問題を無視して安全な作業は出来るのでしょうか。
原子炉格納容器
原子炉格納容器は原子炉圧力容器の外側にある容器で、外部への放射能漏れを防ぐ役割があります。
爆発直後の3号機写真
爆発直後に衛星から撮影された3号機の写真では2ヶ所から白煙が出ているのが判ります(撮影3月14日)。なぜでしょうか? おそらく原子炉格納容器の上部が破損したのでしょう。
3号機には発熱体が2ヶ所ある
自衛隊による放射温度写真により3号機には発熱体が2ヶ所あり使用済燃料貯蔵プールと原子炉格納容器の位置が判っています。
これは過去にも述べています。
参考
3月12日、3号機原子炉の底に穴が開いた?
3号機の使用済燃料貯蔵プールと原子炉格納容器の位置が判りやすいよう放射温度写真に黄色いマークを入れました。原子炉は3号機の中央付近にあります。なお黄色いマークはタービン建屋側です。
原子炉の位置を推定する
3月14日に撮影された爆発直後の3号機の写真を180度回転させ、原子炉の位置をマークした画像を並べました。こうすると原子炉上部から煙が出ているのが判ります。原子炉上部から出る煙の方が勢いがあります。
この写真でも2ヶ所から煙
タービン建屋側から撮影した写真です。3号機建屋中央の原子炉付近から煙が出ているのが良く判ります。原子炉付近から出る煙は勢い良く上方に吹き上げています。
真上から見た3号機
今度は真上から撮影した写真で原子炉の位置を探ります。原子炉上部からたくさん煙が出ているのが見えます。
上方に勢い良く噴煙を上げる3号機
原子炉格納容器から噴出する煙は上方に激しく噴き上げています。(3月20日撮影)
米軍が撮影した原子炉の白煙
4月10日に米軍が無人ヘリT-Hawkで撮影した映像(東京電力提供)にも3号機の原子炉上部から勢い良く白煙が噴出するする場面が撮影されています。参考
無人ヘリが撮影した4号機と3号機
http://phnetwork.blogspot.com/2011/04/blog-post_5370.html
原子炉の煙が上方に噴出する理由
そもそも、原子炉格納容器は巨大な煙突型をしています。この中に原子炉圧力容器が入っています。この巨大な煙突の蓋が原子炉上蓋でこの写真では手前に見えています。現在、高温の核燃料を冷やすために注水が行われています。このため大量の水蒸気が発生しますが格納容器や原子炉上蓋に損傷があれば水蒸気が白煙となって上方に噴出します。東京電力が公開した写真からは3号機の格納容器か原子炉上蓋が壊れていると推定されます。
参考
3月12日、3号機原子炉の底に穴が開いた?
http://phnetwork.blogspot.com/2011/04/blog-post_15.html参考 4号機の原子炉上蓋
4号機の原子炉上蓋は点検中のため外されていた。
結論
4月17日、東京電力は原発事故の収束に向けた作業の工程表を発表したが、原子炉に穴が開いていることを考慮せずに、作業員の安全を確保できるのだろうか。3号機は格納容器のみならず原子炉の底にも穴が開いており放射性物質の放出は続くものの爆発する力は残ってないと思われる。現時点で爆発する可能性が残されているのは1号機である。原発作業員に十分な情報を提供し、全工程において作業員の安全が十分確保されるよう願う。
参考
3月12日、3号機原子炉の底に穴が開いた?
http://phnetwork.blogspot.com/2011/04/blog-post_13.html
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