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2011年7月31日日曜日

福島第一原発の核燃料が地下にめり込む

原子炉内の核燃料は今どのような状態なのか? 核燃料は高温だから、温度に関するパラメーターを見ると核燃料のおよその位置がわかるはずだ。

そう考えて温度に関するパラメーターを見てみたら、またもや一部のデータが未公開になっていた。




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原子炉建屋の構造
圧力容器と格納容器の位置関係
核燃料は原子炉圧力容器内にある。原子炉圧力容器の外側に洋ナシ形の格納容器がある。


1号機の温度パラメータを読む
出典 東京電力


赤枠内について

圧力容器下部が給水ノズルN4Bとともに高温になっており、核燃料が圧力容器下部に落下したと思われる。その後、圧力容器下部の温度は徐々に低下しフランジや給水ノズルとの温度差が小さくなっており、核燃料は圧力容器下部を破って下方へ落下したと思われる(3月20日から3月25日)。

核燃料が圧力容器の底を破って落下した時間には、CRDハウジング上部および下部の温度が上昇したはずだが、核燃料が落下したと思われる3月27日までのデータが未公開になっている。

 



1号機の核燃料は地下に落下している
地下から湯気が噴き上げる映像
福島第一原発1号機原子炉建屋の湯気(東電提供)



2号機の温度測定部位
出典 東京電力



2号機も原子炉の下方に強い熱源がある
出典 東京電力

黄色い枠

圧力容器下部温度よりも圧力容器支持スカート上部温度、CRDハウジング上部温度、圧力容器ドレインパイプ上部温度の温度が高い。核燃料はこの付近にあるようだ。これらの構造物は圧力容器の底部に設置されており、再臨界した核燃料が高熱を発しながら圧力容器の底に穴を開けたようだ。

ピンクの枠

CRDハウジング上部温度の上昇に続いて、圧力容器ドレインパイプ上部温度が上昇している。CRDハウジング上部から圧力容器ドレインパイプ上部付近に高温の核燃料が落下してきたようだ。

赤枠
圧力容器下部とCRDハウジング上部温度が再び上昇するが、それほど高温になっておらず、核燃料は格納容器底部に落下したようだ。


2号機の核燃料の位置(推定)
赤い部分が核燃料の位置
2号機では核燃料の一部は原子炉圧力容器の底を破って格納容器底部に落下したようだ。圧力容器の鉄板の厚さは9センチだが格納容器は3センチと薄く、核燃料が格納容器を破って地下にめりこんだ可能性が有る。


2号機でも建屋内の線量が高く
明らかに放射能が漏れている


福島第一原子力発電所2号機遮へい壁
放射能が漏れており作業には遮へい壁が必要だ
出典 東京電力

2号機地下に貯まった高濃度汚染水
地下に水が貯まっており格納容器の底に穴が開いたようだ
出典 テレビ朝日


出典 東京電力



2号機では29億ベクレルの水たまり
福島原発2号機の29億ベクレルの水たまりについて。 2011 03 27



3号機の温度パラメータ
出典 東京電力


3号機も圧力容器に穴が開き核燃料落下
出典 東京電力
赤枠
原子炉上部にあるRPV胴フランジから圧力容器下部まで原子炉全体が高温になり、その後、RPV胴フランジなど上部にある構造物の温度は低下したが圧力容器下部の温度は逆に上昇した。これは高温になった核燃料が溶けて原子炉底部に落下したからであろう。7月には胴フランジ付近と原子炉底部の温度が下がり、両者の温度差も小さくなっており、核燃料は原子炉底部から格納容器内に落下したようだ。


3号機の核燃料の位置(推定)
赤い部分が核燃料の位置
高温になった核燃料は薄い格納容器の鉄板を破っていると思われる。その場合、CRDハウジングなど下部構造物が高温になると思われるがCRDハウジングのデータが未公開だ。



3号機では1階地面に鉄板を敷いた。
これは地下からの放射能を防ぐためだ。
出典 東京電力


地下に落ちた核燃料からの放射能を防ぐ鉄板
3号機1階
出典 東京電力


福島原発 3号機の水たまりの放射性物質通常の1万倍の濃度検出 3月25日


コメント

 原子炉内の核燃料は今どのような状態なのか? 核燃料は高温だから、温度に関するパラメーターを見ると核燃料のおよその位置がわかるはずだ。

そう考えて温度に関するパラメーターを見てみたら、またもや一部のデータが未公開になっていた。

温度パラメーターを見ながら核燃料の位置を推定してみると、高温になった核燃料が圧力容器の下部を破って格納容器内に落下したように読める。

1号機から3号機では原子炉建屋の地下に高濃度の放射能を含む汚水が貯留しており格納容器に穴が開いたのは確実だ。

1号機から3号機の温度に関するパラメーターは低下傾向を示しているが、核燃料が冷えたのではなく、落下した核燃料が地下にめりこんだ可能性がある。

1号機では地下から水蒸気が吹き上げており3号機では床面に鉄板を敷いて放射線を遮蔽しなければ立ち入れないほどだ。

早く格納容器の穴を塞がなければ地下水汚染が進むのは時間の問題だ。






2 件のコメント:

  1. 私見ですが、もはや格納容器の穴を塞ぐことは不可能のように思えます。第一に作業員が近づけない上に、穴の場所も特定できず、また一体何を使って塞ぐのかという問題があると思います。
    溶接を使えば、ガス化した放射性物質が飛散しますし。穴を塞ぐためには、その間、いったん、注水を止めねばなりません。

    小出氏は、溶融デブリは一部、既に、地下室の床をも貫通して、地中に達しているのではないかとの推論も展開していますが、私個人は、
    燃料は現在、あちこちに、ひっかかりながらも、地下室の溜まり水の中に一部、没していると思います。
    ただし、地下室の床はまだ抜けていないのではないかと。

    余談ですが、2号機の地下室の水は赤く、4号の地下室の水は緑と、まるで「五色沼かいな?」の世界です。一体、どういう化学反応が起きると、そのような水の色になるのか専門家の人のコメントを聞いて見たいものです。
    錆びのせいで赤いというならば、どうして4号機の地下室の水は蛍光グリーンのような色なのかです。しかも、その緑色は、以前に4号機のプールから落下したように見えた緑色の光に似ています。

    ●あとは東電の会見で、毎回不可解なのは、窒素を入れているという発表です。
    1号から3号まで、すでに格納容器も、建屋も、機密性というものが存在しないのにです。
    機密性がなければ、水素爆発は起きないと思うのです。
    それ以前に現在、水素が発生する可能性のあるのは、各号の燃料プールですが、プールにはもともと、機密性はありませんし。
    2号も、建屋の海側に、穴があいていますし。

    にも関わらず、なぜ必要とも思えない窒素を入れていると「発表する」のかです。
    まだ、デブリが「格納容器にとどまっている」と、国民に思わせたいのでしょうかね。

    私は大半が、遅かれ早かれ、地下室に溜まった
    水の中に、没すると思います。

    ただ、その水からさらに床を抜けて、地中にいってしまうかどうかは、分かりません。

    もしもデブリの外側をいくら水中で冷やしても、溶融物の「内部からの熱」でコンクリートを溶かしたら、おしまいだからです。
    そうなったら、小出氏が懸念する地下水との接触による水蒸気爆発になりますが、もしも地中には落ちなければ、このまま、殺人的な濃度の汚染水が、地下室の壁面の割れ目から地中に漏れ続けることが「10年続く」とかになりますね。

    東電は、タービン建屋の地下室から汲み上げた水を循環式冷却に取り込んでいますが、
    そもそも、原子炉建屋の地下水から直接に汲み上げないと、汚染水の除線効果はあまりないように思います。



             ●

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  2.  たぶん最悪な3号炉はMOX燃料が格納容器下の土壌に溶け込んで冷えてると思います。上から水をかけてますから最深部に当たるこの場所は水の底でしょう。ただ格納容器からブツはすでに表に出てますから、閉じ込めっていうのはもう無理でしょうね。(最初から無理だったけどな)
     このまま水をかけて20年くらい冷えるのを待つだけでしょう。蒸発するセシウムなどは見守るほかありますまい。

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